Lean Startup!THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2011 Fallに参加してきました! #NCC2011F

11/3に恵比寿で開催されたTHE NEW CONTEXT CONFERENCE 2011 Fallというカンファレンスに参加してきました。
このカンファレンスで扱うテーマは「Lean Startup」でした。
わたしもその呼び名しか知らなかったのですが、興味があったのでイチから勉強するつもりで参加してきました。
そして、カンファレンスに参加し、いろんな話を聴いた結果「Lean Startup、いい!使えそう!」という印象を受けました。
もちろん何の実践もしないで、ただいい!と思っているだけの状態ですが、
このエントリでは、なぜわたしが「Lean Startup」をいいと感じたかについて書いてみたいと思います。
—-
まず最初に、自分自身よく知らなかったので「Lean Startup」とは何かということについて調べてみました。
3分で分かるリーンスタートアップによると、「Lean Startup」とは
・スタートアップの「失敗パターン」から生まれた起業術
・「アイディア」を「成功するビジネスモデル」にする手法
ということだそうです。
また、その進め方としては
・すべてのアイディアは「仮説」だと考える
・すべての「仮説」は実際の製品で「検証」する
・検証結果に基づいてビジネスモデルを修正する
・ウォーターフォールを止めてアジャイルで開発する
ということが提唱されています。
カンファレンスのなかでも、複数のスピーカーからたびたび「Build – Measure – Learn」「Think – Make – Check」というサイクルが重要と言われていました。
アイデアを「仮説」と位置付け、常に「検証」しながらプロダクトを作っていくためのフレームワークですね。
また、アイデアを思いついた段階からこのサイクルを回すということも「Lean Startup」の特長だと思います。
個人的には「Lean Startup」とは「失敗することを前提にして、その失敗から学ぶためのフレームワーク」だという印象を持ちました。
この「Lean Startup」を最初に発表したのは、Eric Ries氏という方だそうです。
「The Lean Startup」という書籍はUSでベストセラーになったそうです。
邦訳は、2012年に発売されるそうです(楽しみ!)。
SlideShareには、そのEricさんのプレゼン資料もありました。
「Lean Startup」関連書籍でいうと、「アントレプレナーの教科書」も紹介されていました。
—-
そしてここからは、「Lean Startup」を実践しているスピーカーが数多く登壇したカンファレンスの各セッションについて、コメントしていきます。

デジタルガレージ 共同創業者 取締役でMIT Media Lab 所長でもある伊藤穰一氏(@joi)の挨拶。
「地図ではなくてコンパスを持つことが大事」ということばが印象的でした。行き先までの道のりが書いてある地図ではなくて、方向だけが分かっているコンパスを持って進む姿勢が重要ということだと思います。また、セレンディピティが重要、セレンディピティを生み出すセレンディピティエンジンにどんどん参加しよう!とも言われていました。
Joiさんの話を直接聴くのは二度目ですが、すぐに人を惹きつけてしまう話しぶりに今回も圧倒されました!

続いて、Ian McFarland氏 (デジタルガレージ グループ CTO、前Pivotal Labs社 VP of Technology)。
「LeanStartup」の概念を説明されていました。
気になったキーワードとしては、
・コロンブスは中国を見つけにいってアメリカを発見した→Pivot。
・RSpecなどのテストは不良を見つけるものではない。テストはデザイン。
・自動ビルド重要。リリーサビリティ重要。
・ペアプログラミング重要。「検証されていないデザイン」は無駄。
・Think Make Check サイクルを常に回す。
といったものがありました。
「LeanStartup」を実践されている方の話は、とても参考になりました。
「正しいアイディアの探し方 1: デザインと戦略」というテーマで、Jesse James Garrett氏(米Adaptive Path社)の講演。
UXの重要性、作り方についての講演でした。
・製品についてお客さんから何と言ってほしいか?を考えよう。
・「これがなきゃ生きていけない」と言ってほしいはず。ここを目指したいよね。
・(ジョブズ曰く)根底の問題を見つけ美しく優雅なうまくいく解決策を見つける。
・デザインはExperienceを先に考え、あとから技術を選ぶ(オライリー曰く「外からデザインする」)。
・ユーザが使ったときにどう感じてほしいか?を考える。
・「地図ではなく、コンパスを持つ」ことが重要。
・Experience is the product.
UXは、ユーザ体験を意識しながら作る必要があると何度も言われていました。
「正しいアイディアの探し方2: Minimal Viable Product」というKate Rutter氏(米LUXr社)の講演。
必要最小限の機能に絞り込んだプロダクトを開発し、これを起点として よりよいサービスに磨き上げていくMinimal Viable Productの考え方についての説明されていました。
・ミニマルデザインを作ってお客さんに見せて確認(Think Make Check)。
・ケーキ作りでいえば、最初は小さいカップケーキを作る、それから普通のケーキを作って、最後にウェディングケーキへ作る。というサイクルが望ましい。
1. Lo-fidelity sketches(サービスコンセプトのラフスケッチ/FoodSpottingも最初はラフスケッチだけだった)
2. Fake it, then make it (アイデアを試す場 / 事前リリース重要、ほんとに価値があるか?ユーザは興味あるか? / launchrockのようなサービスもある)
3. Small footprints (小さなアイデアを試していくほうがリスク小さい。早めにお客さんに出してみることが重要 )
・ぐちゃぐちゃでもとりあえず出してみる。
・迷ったら、進もう!今日考えて、明日には出す(出すものはなんでもいい。成熟する前に出してみる)。
・野生の植物のように、いろんな影響を受けるべき。
個人的にいろんな気づきがあり、前に進む勇気を与えてくれた講演でした!
Slideshareにプレゼン資料もアップされていました。
MVP: What it is and why we all (should) care
続いて、パネルディスカッション。
モデレーター:前田紘典氏 (Open Network Lab)
パネリスト:Kate Rutter氏(米LUXr社), Paul Campbell氏(アイルランドHyperTiny社), Brian Flanagan氏(アイルランドHyperTiny社), 太田 睦氏 (株式会社ギフティ)
・Hypertinyでは、お客さんからアイデアをもらって2週間で作る(すごい!!)。
・フィードバック、人に使ってもらうことが重要(Learnの部分)
・Lean Startupだとユーザのフィードバックを重視して、柔軟にPivotすることが重要と思われるけど、あくまでコンパスを持っているのは自分(スタートアップ自身)。
・すべてのフィードバックにYesという必要は無い。
「Shipping It Faster 1: アジャイル開発とフィードバックシステム」というテーマでJoe O’Brien氏(米EdgeCase社)の講演。
アジャイルソフトウエア開発の必要性に関する講演でした。
・アジャイル開発で重要なのは、ツールじゃなくて人。
・スタートアップでお金がかかるのは最初の開発ではない。収益を生むためのプロセスの専門家が必要。
・コストはメンテナンスの時期に高まる。
パネルディスカッション。
モデレーター:Rocky Eda(デジタルガレージ)
パネリスト:Joe O’Brien(米EdgeCase社), Brian Doll氏(New Relic社), Pieter Franken氏(Safecast), Eric Lagier氏(米Memolane社)
・アジャイル開発の適用範囲。サイズとは関係ない。新生銀行の事例を記載した「ITに巨額投資は必要ない」という本を出版。
・MemolaneのEric氏曰く、スタートアップはなんでもアジャイル(開発、マーケティング、採用。18ヶ月は試行錯誤)。
・成功要因。各担当者がリスクをとることが基本。
・Memolaneでは、週末にアンケートをとった。その結果をもとに大幅に作り変えた。
・フィードバックシステム重要、Twitterもそう。リアルタイムで分かる。
・開発者とデザイナは相互に補完する関係。どちらもできるハイブリッドデヴェロッパもいる。
・チームを小さく、早く動けるように。
・コードを書くだけ、デザインするだけ、マーケティングするだけではなく、ほかの人の作業にも関心を持つことが重要。
・Memolaneはフラットな組織。責任者が決まっている。
・スタートアップでは最初は3-4人。兼務することが必要。
・最高責任者はコンパスの方向をメンバーに伝える必要がある。
Memolaneは気になっていたサービスだったので、CEOの方の話が聞けて良かったです。
日本でも展開を始めるようですね。
デジタルガレージが米Memolaneと提携、ソーシャルの“自分史”構築サービス
日本のユーザーがUSに次いで全体の17%もいるそう。Evernoteみたいなユーザ構成ですね。

「Shipping It Faster 2: 一貫型開発とデザイン」CJ Kihlbom氏(スウェーデンElabs社)の講演。
「Lean Startup」を各プロセスで一貫して進めていくために重要な要素について説明されていました。
・PREPARING(準備/デザイナー・デヴェロッパー共同作業)
準備(ラフスケッチなど)はチーム全員の仕事という意識が必要。
・SHARING(共有。ペアプロ、単体テスト)
一緒に問題に向かうことで、ライバル意識、敵対感、フラストレーションをなくすことが必要。
・CARING(思いやり)
お互いに思いやる。これは自分の仕事ではないという意識をなくすことが必要。
このセッションは、実装寄りということもあって、非常に共感するポイントが多かったです。
「CARING」っていうのは、当たり前のことですが、こうやって説明されることが新鮮に聞こえました。
パネルディスカッション。
モデレーター:安田幹広氏 (デジタルガレージ)
パネリスト:CJ Kihlbom氏(スウェーデンElabs社), Brian Flanagan氏(アイルランドHyperTiny社), 伊藤穰一氏(MIT Media Lab), Chris Palmieri氏(AQ社)
・(Joiさん) MITでは全員がエンジニアであり、全員がデザイナ。デザイナはエンジニアのような考え方をすべきで、エンジニアはデザイナのような考え方をすべき。分けるべきではない。
・メンバーを選ぶ基準について。プロセスは教えることができる。センス・価値観が似てることが重要。
・(Joiさん) Pivotal Labsの人が、エンジニアはコーディングの最中にイノベーションを適用してはいけない、と言っていた。
・ストーリーを小さくすることが重要。デヴェロッパーがストーリーを作るときに関わることが重要。
・Google+ と Facebook。どちらもモンスターサービスだけど、アジリティを持ったアジャイル開発をしている。

「Lean Startup 実践1: 多用性」というテーマでPieter Franken氏(Safecast)の講演。
Lean Startupの多用性の事例紹介でした。
・震災後、人づてでプロジェクトが広がっていく。ガイガーカウンターを作ろうという「Safecast」。
・6日でガイガーカウンターを作り、1ヶ月で車に取り付けて計測開始。
・ゼロから立ちあげるという意味では、スタートアップもボランティアも一緒。
・共通するのは、人とやるということ。セレンディピティ重要。問題を細かく分ける。
・全部自分でやろうと思わないことが重要。
パネルディスカッション。
モデレーター:伊藤穰一氏(MIT Media Lab)
パネリスト:Pieter Franken氏(Safecast), 加藤 寛之 氏(株式会社ネットプライスドットコム Executive Service Producer), Ray Ozzie氏, 堤孝志氏(ベンチャーキャピタリスト)
・大企業 or スタートアップでのアジャイル開発の違い。組織のなかで合意をとる。のがステップゼロ。スタートアップではファウンダが決めればオッケーだが、大企業ではこの合意が難しい。
・今日会場にいる人でスタートアップで働いている人は、1割くらい。
・スタートアップはリスクを取りやすい。いまグーグルに入る人は安定を求めて入る。
・モチベーションについて。わくわくする動機をどう持たせるか?スタートアップでは「成功したらこんなに楽しいよ」と伝える。
・一番だめなのは、プロジェクトに参加しないこと。スタートしないことが失敗。
・なにを学んだかが重要。教育と学びは異なる。
・USでは、ベンチャーで失敗した人を次の会社のトップにする文化がある。学びが重要。
・日本には苦しみの美学がある。でも、Failureしながら勝つことがかっこいい。

「Lean Startup 実践2: 既存開発チームへの導入」というテーマでJanice Fraser氏(米LUXr社)の講演。
・大きな石(問題)を細かく分けることが重要。
・ビルから出て、ユーザと話すことが重要。「Get out of the Building!」
・プロトタイプなどで、自分が正しいと思うことを証明。
・ユーザが自分自身になると、質問することをわすれてしまう。これは危険。
・マーケットとプロダクトの関係。価値の高い問題を解決するものか?どうやって見分けるか?1000人が使って、4割が「無くなったらがっかりする」と言われたら、そのプロダクトはマーケットに受け入れられている。受け入れられなければPivotするしかない。
・アントレプレナーの教科書+XP+TOYOTA WAY = Lean Startup
・Lean startup のサイクルは、「ideas – 『Build』 – product – 『Measure』 – data – 『Learn』 – ideas」
・UX Cyclesは「Think Make Check」
・The 9 Principles of Lean User Experience(Lean UXの9つの法則)
(参考)このセッションの資料の日本語訳版が、Slideshareにありました。
パネルディスカッション。
モデレーター:Janice Fraser氏(米LUXr社)
パネリスト:前田紘典氏 (Open Network Lab), 宮島 壮洋 氏 (株式会社カカクコム 食べログ本部副本部長), 和波俊久氏(Lean Startup Japan), 安田幹広(デジタルガレージ)
・まずは、アイデアの検証/お客さんと会うことが重要。
・アイデアビジョンがあることが重要。Validationのプロセスがあることで成功確率があがるモデル。そのプロセスをちゃんとやれるチームがあるかどうかが重要。Open Network Labではその視点でチームを見る。
・食べログの事例。ユーザ、広告主(お客さん)、両方を見る難しさ。ユーザ獲得、売上獲得との間でコンフリクト発生。そのコンフリクトを解決するために、一番大事なものについてディスカッション。
・「Lean Startup」で大事な要素は?「Think, Make, Check」。常に改善しようとする意識。自分たちが幸せになるためには、ユーザの気持ちになること。そのためにはターゲットを絞ること。早くやって、早く失敗することが重要。早い段階でユーザと話す。失敗して学ぶ。
・難しい判断をどう効果的にやるか?利害関係を特定すべき。フィードバックのなかから、何を拾うか、何を外すか?最後はスタートアップ自身で決める。その決定をするときに、それまでの失敗経験が活かされる。
・「Lean Startup」をするチームでは、ハスラー、ハッカー、デザイナーの役割分担が重要。
・学習する能力を持っていること。
・ユーザに共感、追体験することも重要。
最後にJoiさんのクロージングトーク。
・3つのプランを持つことが重要。
・Plan A(今やってること)、 Plan B(夢)、 Plan Z(AもBも全部だめだったらやること)
最後に、こんな気持ちを盛り上げる話でまとめるところがさすがです!
今回、このカンファレンスに参加して「とりあえず何か始めてみよう!」という思いが強くなりました。
「Lean Startup」のいいところは、失敗することが前提のフレームワークになっているところかと思います。
一歩を踏み出す勇気を与えてくれる考え方だと思いました。
ITサービス開発に限らず、何かを始めようと思っている人には「Lean Startup」は、しっくりと受け入れられる手法・フレームワークではないかと思います。
#カンファレンスのおみやげです。
